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EU離脱を考える「ヘーゲルから考える私たちの居場所」山内廣隆 

ヘーゲルから考える私たちの居場所


「ヘーゲルのカント的国家連合批判」

2016年6月24日この書評を書いている。
おりしも今日、イギリス国民がEU離脱を選択した歴史的な日となった。 
                           
.イギリス国民がEU離脱を選択した理由は総じていえば「主権」の回復を求めたということであろう。

 それはまさしく本書でヘーゲルのいうところの「自立した国家こそ『地上での絶対的威力』であり、国家同士の関係は基本的には排除関係である」に当たる。

経済的理由から国民は残留を選択すると信じていたキャメロン首相は国民の意志を完全に読み違え辞任に追い込まれた。

「国の自立性において、現実的精神である自独存在は現に存在するものとなっているのであるから、このように自立していることが国民第一の自由であり、最高の栄誉である」は勝利した「離脱派」の言葉とさえ思われておもしろい。
                
.カントの提唱する平和的国際体制、諸国家の連合は理想であるが、ヘーゲルは「総じてつねに特殊な主権的意志に基づいており、それゆえ偶然性にとりつかれている」と批判する。そこにはヘーゲルのきびしい人間観察、歴史認識が見てとれる。           

.しかし本書の結論は、ルートヴィッヒ・ジープの
「ヘーゲルの歴史哲学をすべて採用することはできない。とくにわれわれは、理性と自由の必然的進歩というヘーゲルの理論に対しては懐疑的になっている」を引用し、曖昧で日和見的見解で終えているのは残念である。

EU加盟国が自国の主権を回復できないと判断すれば、イギリスに次いでEU離脱のドミノ化が現実のものとなろう。

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